【詭弁】夜行急行を『ムーンライト』化したら?【妄言】

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青春18きっぷをめぐる詭弁の第二弾です。

普段からディスっている某自称旅行会社社長が著書でほざいた詭弁と言うか妄言をぶちのめします。


詭弁 3・夜行急行も快速にすれば売上が伸びる

自称旅行会社社長が著書で垂れ流していた妄言の一つに、「夜行急行列車を快速に転換しろ」と言うのがあります。

夜行急行として運転していた(いる)『はなます』『八甲田』『津軽』『能登』『きたぐに』『銀河81/82号』『ちくま』『だいせん』『かいもん』などは、快速列車にすれば乗客が増えて増収になると言うものです。

実はこれには前例があり、かつて上越線直通の夜行急行だった『尾瀬』が快速化された事がありました。

また、『ムーンライト信州』も『アルプス』の快速化となっております。

  • 歴史的には、山岳夜行普通列車が『アルプス』に統合されたあと、快速化されたものですが。

確かに、長距離では急行料金は運賃よりずっと安くなり、従って利用者が少しでも増えれば簡単に増収に出来るでしょう。

ですが、これはあくまでも普通運賃での話です。

青春18きっぷでは、急行料金収入が消えるだけでなく、運賃収入も大幅に減少するため、何倍もの利用増加がなければ増収どころか寧ろ減収になってしまいます。

旅客が増えれば増収になると言うのは、まさに詭弁以外の何物でもないのです。

実際、『尾瀬』は定着せずに廃止、『ムーンライト信州』も寧ろ18きっぷが通用しない日に設定される傾向がある時点で、18乞食が増えても儲からないと言うのが明らかでしょう。


幾つかの例で検証しましょう

以下、主な列車について具体的な数字を出して、この自称旅行会社社長の妄言が詭弁である事を証明します。


夜行急行『能登』の場合

かつて上越線経由で運行していた『能登』(上野-金沢間)号を『ムーンライトのと』にしたとしましょう。

営業区間が東日本管内と西日本管内に分かれますが、東日本についてのみ考えます。

結論から言えば、

事になります。


上野-金沢間の東日本の収入は急行なら 5,817円

上野(東京都区内)-金沢間の運賃は 514.8キロから 8,210円となります。

これから消費税 8%を差引き、更に販売報酬 5%を差引くと、約 7,722円となります。

営業キロで按分すると東京都区内-直江津間は 337.8キロですから、東日本の取り分は 5,067円となります。

また、急行料金は 200キロ超につき 1,300円で、これも税金と販売報酬を引いた 1,143円を営業キロで按分すると約 750円となります。

以上より、上野-金沢間の東日本の乗車券と急行券の収入は 5,817円となります。


快速化した際の青春18きっぷでの収入は?

売上分配がなくても下りの増収には二・三倍の旅客が必要

一方、青春18きっぷ一回当りの消費税と販売報酬を差引いた金額は 2,084円となります。

上りは青春18きっぷ一枚で東日本管内を利用出来ますが、下りの場合、上野-大宮間は青春18きっぷ一回の権利に及ばないため、別運賃 470円を払う事となります。

恐らく上野駅で買うでしょうから販売報酬も東日本が受取ると思いますが、条件を公平にするため販売報酬も差引くと 413円となります。

従って、下りでは青春18きっぷ一回分と別払いの運賃 413円を加える事となります。

青春18きっぷの売上が山分けされる事を無視するなら、東日本の収入は 2,497円となり、約二・三倍の旅客増で増収に転じます。

一方上りの場合、東日本の収入は青春18きっぷ一回分の 2,084円だけとなり、収入の維持には二・八倍の旅客増が必要になります。


売上分配を考えたら下りは五倍、上りは七倍以上の旅客が必要

ですが、青春18きっぷは山分けされるものです。

最も有力とされる、在来線営業キロでの按分であれば、東日本の取り分は 37%と推定されます。

これに基づけば、青春18きっぷ一回当りの東日本の収入は 771円となります。

そうなると、下りの場合東日本の収入は 1,184円となり、乗客が四・九倍に増えても減収となってしまう事となります。

上りに至っては、乗客が七・五倍にまで増えないと増収にならない事になります。

勿論、青春18きっぷの分配比率はあくまでも推定であり、実際にはもっと入る可能性も否定出来ません。

ですが、全額が入ると仮定しても二倍以上の旅客増が必要である事を考えると、山分け比率など議論するまでも無いでしょう。

尚、この列車は東日本の協力がなければ運行は不可能であり、従って東日本の状況を考えると西日本の減収額は考慮するまでもなくダメとなる筈です。


夜行急行『はまなす』の場合

続いて、夜行急行『はまなす』(青森-札幌間)についても検討しましょう。

以前、青春18きっぷだけで大挙して『はまなす』に乗り込み、"数の暴力"で車掌を屈服させてお咎め無しにされると言う犯罪行為があったそうですが、もしこれが合法化されたとしたらと言う話です。

今回はメイン区間となる北海道旅客鉄道の売上がどうなるかを推測しましょう。

これも結論から言えば、

  • 青春18きっぷ二回分 4,168円がまるまる北海道旅客鉄道の懐に入ると言うなら旅客が倍に増えれば増収になりますが、
  • 実際には山分けされるため、約十六倍に旅客が増えなければ減収になってしまう

事になります。


青森-札幌間の北海道の収入は急行なら 7,970円

青森-札幌間の運賃は東日本基準の運賃に北海道分の加算運賃を加える形となります。

どのように按分されるかは分かり難いのですが、北海道旅客鉄道の取り分は、加算運賃を除いた分を営業キロで按分し、それに加算運賃を加えるとしましょう。

加算運賃を除いた運賃は、地方交通線の換算キロと幹線の実営業キロを合わせて 488.0キロですから 7,880円となります。

これから税金と販売報酬を引けば、7,129円となります。

北海道部分は中小国-札幌間(実際には中小国からの乗車は不可能)で、この区間の運賃計算キロは 453.5キロとなりますから、約92.9%となり、従って約 6,622円となります。

これに、加算運賃 320円について、同様に税金と販売報酬を引いた 281円を加えると、青森-札幌間の利用に於ける運賃の北海道旅客鉄道の取り分は 6,903円と言う事になります。

  • 実際には加算運賃を入れない運賃と加算運賃は別々に発券される事は決して無いため、税金も販売報酬も双方の合計額から差引かれます。従って、上記の計算には 1円単位とは言え若干の誤差が生じております。

また、急行料金は 200キロ超の 1,300円となり、営業キロで按分すると 93.3%となり、従って約 1,067円となります。

以上を合計すると、青森-札幌間を利用した場合の乗車券・急行券の合計額のうち、北海道旅客鉄道は 約 7,970円を受取る事となります。


『はまなす』を快速化した際の18きっぷでの収入は?

売上分配がなくても増収には倍の旅客が必要

下りの場合、函館で日付が変わりますが、青森-函館間は3,020円となり、青春18きっぷをもう一回分使う方が得策です。

一方、上りも日付が変わるのは伊達紋別で、やはり青春18きっぷを二回分利用する方が賢明です。

つまり、上下とも青春18きっぷ二回分の 4,168円となり、これがまるまる北海道旅客鉄道の懐に入るのなら、旅客が二倍に増えれば増収になるでしょう。


売上分配を考えたら十六倍の旅客が必要

ですが、青春18きっぷの売上は山分けされるべきものであり、最も有力な説とされる、営業キロでの按分説を採るなら、北海道は 12%の約 250円しか取れません

つまり、二回分でも 500円にしかならず、従って約十六倍の増客増がなければ減収になってしまうのです。

ここで、分配比率はあくまでも推定だろうと反論するかも知れませんが、北海道の路線規模を考慮すれば、売上の半分も取れない事は自明でしょう。

それに、全額が漏れ無く北海道旅客鉄道に入るとしても、旅客が二倍に増えない限りは増収に転じないのですから、快速にするのはそれだけで充分逆効果だと分かります。

  • 実際問題、上りも下りも東日本管内に入る訳ですので、全額が北海道の懐に入ると言う主張自体がインチキ以外の何物でもないのですけどね。

『北海道 & 東日本パス』で暫く自由席に限り利用を認めていたのを、急行料金を別途課金するようにしたのは、せめてそれくらいしないとやって行けないと北海道側から泣き付かれたのでしょう。

  • ちなみに、某自称旅行会社社長は、東北新幹線の八戸延伸の際に、この列車を快速化して八戸まで乗り入れろとほざいておりました。ですが、今までの考察を見れば、そんな馬鹿な事が出来る訳がないのは自明ですね。

結論

ご覧のように、主要な夜行急行列車は、青春18きっぷの売上は各社で山分けされると言う事実無視しても、二倍以上の旅客増がなければ増収には転じません。

ですが、青春18きっぷ収益山分けは当然であり、従ってそれを考慮すると、もはや運行など出来ないほどの旅客増を必要とする事が明らかになります。

正直、急行列車を快速列車に移行する事自体は、実は大した問題では無いのかも知れません。

実際、急行料金は運賃よりは安いので、急行料金収入が消えても旅客が倍増すればたちまち増収に転じる筈だからです。

でも、青春18きっぷの存在こそが、その計算を大きく狂わせてしまうのです。

青春18きっぷのせいで、たちまち採算が取れない赤字垂流し列車に成り下がってしまうのでしょう。

つまり、青春18きっぷがあるからこそ、夜行急行列車を快速に格下げせずに廃止するしかなくなってしまった訳です。


自称旅行会社社長の更なる妄言

自称旅行会社社長は、「急行券相当が減収になるなら"夜行整理券"を発行してそれで補え」などと著書でほざいておりました。

しかし、上記の例を見れば分かる通り、夜行急行列車を青春18きっぷシーズンに快速で運転した場合の減収の最大の要因は、急行料金の喪失ではなく運賃収入の大幅な減少であるのは明らかです。

つまり、急行料金を別の料金で補うくらいなら、青春18乞食を排除する方が遙かに有効となるのです。

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