青春18きっぷを巡って聞かれる詭弁

  • トゥィッターで言及(トゥィート)
  • アメーバで共有
  • はてなブックマークに登録
  • フェイスブックで共有
  • タンブラーで共有
  • Google+

青春18きっぷについては、ああすべきだこうあるべきだとしばしばネットや書籍・雑誌等でも話題にされます(制作者もいろいろ書いておりますが)。

ただ、青春18きっぷを巡る議論に於いて、しばしば閲覧者や読者を騙すようなインチキに満ちた詭弁が見られます。

  • 特に制作者が日頃ディスっている某自称旅行会社社長の妄言には、この手の詭弁が随所に見られました。

今回はしばしば聞かれる詭弁について、特に聞き捨てならないと思った二つを書いてみたいと思います。


詭弁 1:青春18きっぷの売上に関した詭弁

青春18きっぷが年間60億円以上売れている───これは確かに事実ではあります。

また、臨時夜行快速列車を運行すれば、青春18きっぷと指定席券の収入があると言うのも嘘ではありません。

しかし、青春18きっぷの売上はあくまでも旅客鉄道会社六社で山分けされるものです。

山分けされる事実を考慮せずに青春18きっぷの売上が大きいから云々と主張した時、その主張は直ちに詭弁となります。

少なくとも売上が全額特定の旅客鉄道会社のものとなるかのような議論はインチキ以外の何物でもありません。


詭弁の例

以下に詭弁の一例を挙げておきます。

  • 但し、オリジナルの詭弁が発せられた平成 8年当時とは状況が異なるため、現状に合わせた内容に変えております。

今、新潟にある E653系(七輌編成)を用いて、東京-函館間に青春18きっぷ利用者を対象とした夜行快速列車を走らせるとします。

  • 現在七輌編成の E653系は『いなほ』に充当されている事と
  • 東北本線の盛岡以北が廃止されて青春18きっぷで乗れなくなった事

から、高崎線-上越線-信越本線-白新線・羽越・奥羽本線ルートとします。

七輌のうち普通車は六輌で、定員は410人となります。

従って、満席になれば、

  • (二日分の青春18きっぷ 4,740円+指定席券 520円)×410人=2,156,600円

になり、相当な利益を得る事でしょう。


  • オリジナルの詭弁では12系客車を用い、臨時夜行急行だった『八甲田』のスジを活用した東北本線経由と言う仮定でした。

    ですが、12系客車が殆ど残っていない事や東北本線の盛岡以北が廃止された事から、上記のように改変しております。


何がおかしいのか

実際には青春18きっぷの売上は山分けされるため、上記の売上がそのまま東日本と北海道に入る訳ではありません

また、東日本と北海道の間でも山分けが発生する筈です。

  • まさか、東日本車で運転してやるのだから北海道は無収入で我慢しろなんて言いますか?

加えて、販売者が払う消費税と、販売者が受取る税引き後 5%の報酬もあり、これらを差引いた額が山分けされる事となります。

青春18きっぷの分配比率について、現在最も有力とされる在来線営業キロに基いた比率で分配されると仮定しましょう。

この場合、販売者が払う消費税( 8%)と販売者への報酬(税引き後 5%)を引いた額を五等分した金額 2,084円のうち、

  • 東日本は約37%≒771円
  • 北海道は約12%≒250円

となります。

また、指定席料金についても、複数会社に跨る場合は営業キロで按分されると言われております。

この場合、東京-函館間は同様に販売者が払う消費税と報酬を引いた額 457円のうち、

  • 東日本は 792.7キロ⇒約83%≒379円
  • 北海道は 160.4キロ⇒約17%≒ 78円

これを基に算出すれば、

  • 東日本:(771円×二日分 1,442円+指定席券83% 379円)×410人=746,610円
  • 北海道:(250円×二日分 500円+指定席券17% 78円)×410人=236,980円

勿論、売上の分配比率は非公開なのでこれが正しいとは断言出来ませんが、少なくとも東日本が最大手とは言え売上の半分以上を取る事はないと見てよいでしょう。

そして、いずれにしても、詭弁で挙げられていたような収入にはならない事だけは明らかでしょう。


注釈
  • 上記はいずれも満席である事を前提にした議論です。

    しかし、実際には"二席厨"や"ボックス厨"或いは"ネットダフ屋"などのせいで上記の期待される売上額に遠く及ばない可能性の方が高いでしょう。

    • 実際鉄道会社も満席であれば云々と言う議論で列車の設定を行う事はないでしょうね。
  • 加えて、当該列車に乗る前、降りたあとの分も考慮しておりません。

    乗車前後に他の列車に乗っているなら、当然その列車にも青春18きっぷの収益が配分され、その分当該列車の売上が減る筈ですが、接続列車は概ね普段から運行している普通列車なので、特に考慮する必要もないのでしょう。

  • 今回はグリーン車(定員18名・東京-函館間の運賃・Bグリーン料金= 14,160円・恐らく指定席にするので青春18きっぷ不可)については議論しておりません。

    元の詭弁ではモノクラス編成だった事と、青春18きっぷと違って乗車区間に依り金額が変動して計算が困難だからです。

    • もっとも、制作者の経験では『ムーンライトえちご』のグリーン車はいつもガラガラだったので、皮算用するだけ無駄でしょうけどね。

蛇足

列車と言うものは、運転士と車掌(ワンマンなら運転士だけ)しか人件費が掛からない訳ではありません。

途中駅の駅員の人件費も忘れてはいけないのです。

更に、夜行列車の場合、深夜手当を与えなければなりません。

  • どっかのブラック企業みたいに、薄給で酷使するなんて事は出来ません。

加えて、途中駅の光熱費も忘れてはいけません。

昔のように寝台特急や夜行急行が多数運行されていた頃と違い、現在は深夜帯の営業が不要になっており、従って夜行列車の運行は新たな経費を発生させる事になります。

  • 私事ですが、『ムーンライトながら』で静岡駅や浜松駅の長時間停車中に駅を出るとき「電気代の無駄じゃね?」と思ったくらいですから。

また、長距離列車を運転すると言う事は、重要部検査の条件となる走行距離を喰う事になり、結果重要部検査の回数が増えてそれが見えない人件費となるでしょう。

加えて、上記の例の場合、青函トンネルの使用料にも跳ね返るでしょう。

以上の事を考えると、最大売上が25万円にも満たない夜行列車など、北海道旅客鉄道にとっては大した利益を生まないどころか、赤字になる恐れさえあると言えるでしょう。

  • 青函間の特急なら、青森-函館間を百人乗っただけで北海道旅客鉄道には 40万円前後もの収入になります。現状、北海道旅客鉄道にとっては青函トンネルの貸付料が重荷になっていると言われており、客単価が極端に低い快速『海峡』廃止も已むを得なかったのかも知れません。
  • かつては、夜行列車の廃止に際し「俺達から仕事を奪うな!」と労組が主張していたそうですが、昨今では夜行列車もほぼなくなった結果、新たな夜行列車の設定は、労組にとって「俺達に余計な仕事をさせるな!」に変わっているようです。

詭弁 2:青春18きっぷの価格設定に関する詭弁

自称旅行会社社長の詭弁で最も噴飯モノだったのが、青春18きっぷは安過ぎるかと言う議論です。


  1. 国鉄の赤字問題がなければ、東海道新幹線は現状の半額で乗れる。
  2. そうすると現在の青春18きっぷの一回分の価格はその場合の価格の三分の二程度となる。
  3. 新幹線の三分の二程度ならそれ程安過ぎると言う事はない

青春18きっぷが安過ぎるか否かは置いておいて、これほどインチキに満ちた詭弁も珍しいものです。


問題点 2.1:比較対象の条件が全く異なる事

この詭弁の最大のインチキは、

  • 国鉄の赤字がないと仮定した新幹線の利用費用と、
  • 国鉄の赤字が実際にある現状での青春18きっぷの価格

と、全く異なる状況での価格を比較している事です。

異なった条件での比較を根拠にする程ナンセンスな詭弁はありません。

現状、東海道新幹線の東京都区内-大阪市内間は運賃 8,750円、自由席特急料金 4,870円となり、従って特急料金が無料になったとしても半額にはなりません。

つまり、国鉄の赤字問題がなかったとしたら、運賃も相当安くなっている筈です。

そうすると、青春18きっぷの価格も当然それに合わせて安くなっていなければおかしい筈です。

それこそ、実際に国鉄の赤字が問題になった結果の青春18きっぷの価格は、国鉄の赤字がなかったとした"並行世界"では寧ろ高過ぎてしまうでしょう。

  • 更に細かい事を言えば、運賃以外の一般の物価も国鉄の運賃上昇の影響を少なからず受けていた筈です。

    この事を考えても、現実世界での青春18きっぷは、国鉄の赤字がなかった"並行世界"では高過ぎる筈です。


問題点 2.2:青春18きっぷ誕生の背景を無視している事

これは、この詭弁を弄した自称旅行会社社長の著書に寄稿された現東海旅客鉄道相談役・須田寛さんがその中で述べておられる事実です。

昭和50年代、国鉄の赤字に端を発した毎年のような値上げに依り、国民の国鉄離れは深刻になっておりました。

そして、国鉄離れ対策として、それまで周遊券くらいしかなかった一般向けの割引きっぷを企画する事となり、主に若者をターゲットとして産まれたのが『青春18のびのびきっぷ』今の青春18きっぷだったのです。

もし、国鉄の赤字問題がなかったとしたら当然値上げも必要なく、国鉄離れもそれ程起こらなかったでしょう。

そうなると、割引きっぷを企画しようと言う機運も起こらず、結果青春18きっぷは当然今の世にはない事が考えられます。


私見:もっと素直に言えばよかったのに…

正直、青春18きっぷが安過ぎるかと言う問題については、あれこれ詭弁を弄せず、素直に

  • 東京-大阪間の普通運賃の四分の一くらいだ

と書けば、却って納得する読者も増えたのではないでしょうか。

制作者もそう言われたら「あぁ、そのくらいなら適正価格だな」と判断し、これ以上批判はしません。

それを、インチキに塗れた詭弁を弄した事で、自らの信頼性を破棄してしまったのです。

世の中にはくどくど言えば分かってもらえるとか、専門用語をグダグダ並べれば自分が知的に見えるだろうと思うような愚かしい人間も多々いるものです。

ですが、誰にでも分かってもらえるように的確に発言するのが本当の賢者ではないのでしょうか。


さいごに

青春18きっぷを巡る環境は確かに"悪化"の一途を辿っております。

ただ、それにはそれ相応の理由があってのものです。

幾ら18乞食に都合の良い詭弁を弄したところで、旅客鉄道会社には何の説得も出来ないでしょう。


制作者の青春18きっぷに対するスタンス

まず明確にしておきたい事ですが、制作者は青春18きっぷを否定しておりません

寧ろ存続して欲しいと思うくらいです。

しかし、あくまでも大幅に割引された青春18きっぷごときで、過剰な権利を主張し、あまつさえ旅客鉄道会社の経営にまでケチを付けるような18乞食、或いは現場で過剰な権利を"人数の暴力"に任せて強奪しようとする不良18ゴロ容認してはならないと思っております。

そしてそのような18乞食や18ゴロを散々唆すような事を続けている某自称旅行会社社長も批判されて当然だと思います。

ネットや書籍等で妄言を垂れ流すだけなら何の問題もありません。

それこそ「嫌なら見るな」「嫌なら(俺の著書を)買うな」で済むだけの話しです。

しかし「俺の著書を片手に便宜乗車を勝ち取れ」などと、不当な18ゴロ行為を散々唆し、結果現場で不良18ゴロに依る問題が多数起きている以上、彼は言動に対する責任を免れる訳には行きません。

それ故、制作者は彼を批判しディスっているのです。

  • 蛇足ですが、制作者の敵が増えそうなスタンスとしては、他にも

    • 女性専用車に法的根拠を与えて違反者を法的に取締まれ

    と言うのがあります。

    これについても、機会があれば書きたいと思います。

    • チンケなプライドのため差別だと喚く辺りはどっかの半島人を思い出してしまいます。
関連記事
スポンサーサイト