『ムーンライト九州』の廃止は当然だ

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山陽本線の臨時夜行快速列車だった『ムーンライト九州』は、平成20年度冬季の運行を以って事実上廃止されました。

廃止されて五年以上経った今尚、同列車の運行再開を求める声は少なくないようです。

しかし、制作者は『ムーンライト九州』に限らず、西日本旅客鉄道が運行していた『ムーンライト山陽』『ムーン・ライト高知』『ムーン・ライト松山』『ムーンライト八重垣』の廃止は已むを得ない事と思いますし、再開する必要はないし、再開してはならないと思われます。


車輌を変えずに運行し続けた理由

そもそも、西日本旅客鉄道は『ムーンライト九州』などに使用していた14系客車等がどんな状態だったかくらいは把握していた筈です。

車輌の老朽化具合, 保守部品の在庫などを検討すれば、それこそ壊れる前に何らかの措置を執った筈です。

そう、最悪の事態になる前に、復活を求める方々が言うように 485系交直流型電車等に置換えていた筈です。(※ 1)

実際、末期の『ムーンライト九州』で、車輌故障が起きて出発が大幅に遅れると言う事故がありました。

その事故ではあわや運休となり掛けたそうで、まさに最悪の事態の一歩手前でした。(※ 2)

こうなる可能性を西日本旅客鉄道が予見出来なかったとは思えません。

それ故、別編成への早期切替を行わなかったのは、車輌が壊れたら即廃止と言う意図があったのでしょう。

『ムーンライト九州』に限らず、『ムーン・ライト高知』『ムーン・ライト松山』も車輌の老朽化は著しく、こちらも(無理でしょうけど)2000系気動車などに置換えるなどの措置を執るべきでした。

しかし、それをしなかったのは、つまりそう言う事なのです。


『ムーンライト九州』等が見放された理由

それでは、『ムーンライト九州』など西日本の夜行快速列車が西日本旅客鉄道などに依って見放されたのは何故でしょう。

ズバリ赤字だったのが理由でしょう。

何しろ、新大阪-博多間で見れば、新幹線なら自由席でも 12,979円(消費税と販売報酬 5%を引いた金額)に対し、18きっぷでは18きっぷと指定席券の収益が全額西日本に入ると仮定したとしても 4,625円。

実際には18きっぷの売上は各社で山分けされる事になっているので実際にはこの半分以下と見るのが妥当であり、従って新幹線なら自由席であっても一人で少なく見ても 18乞食五人分以上の利益をもたらしてくれるでしょう。


『ムーンライト九州』を廃止に追込んだ奴ら

ただ、初めから赤字が確実な列車を運行する程、西日本旅客鉄道は愚かな訳がありません。

それこそ、そんな列車を走らせようとすれば、西日本旅客鉄道幹部が恐れていると言われる外資ハゲタカ投資家たちが黙ってはいないでしょう。

恐らく、青春18きっぷであっても、満席なら僅かに黒字が出るくらいのものだったと思われます。

確かに、青春18きっぷではこれ以上なく便利な列車なので、満席になる事は間違いありません。

  • 実際、制作者も何度も予約を取り損ねた記憶があります。

それなのに、赤字になったとしたら、恐らく犯人は以下のいずれかか双方でしょう。

いわゆる"二席厨""ボックス厨"

一人のくせに、隣に他人が来るのを嫌って隣の席やボックス四人分の指定席を買い占める奴らがいました。

まぁ、気持ちはわからなくもありません。

実際、制作者も『ムーンライト八重垣』で隣のおっさんに馴れ馴れしくそれもタメ口で夜通し話し掛けられて、結局下車した松江まで一睡も出来なかったと言う嫌な思い出があります。

しかし、それをやられると運賃分の収入が確実に減ります。

結果、収支計画がこいつらのせいで破綻してしまい、運行継続が出来なくなってしまうのです。

"ネットダフ屋"

正直"ネットダフ屋"等と言われる"転売屋"については、制作者も殺意を覚える事がよくあります。

しかも、快速列車の指定席券はせいぜい510円(末期時)だったので、買い手が付かなくても僅かな払い戻し手数料しかリスクがありません。

この結果、本当に乗りたい方が買えずに結局諦めてしまい、結果空席だらけとなり、やはりそれに依り収支計画が破綻してしまうのでしょう。(※ 3)


西日本旅客鉄道には夜行列車を運行する余裕がない

また、今の西日本旅客鉄道は、僅かな黒字ではもはや許されない状況にまであるのではないでしょうか。

青春18きっぷに否定的なイメージが強い東海旅客鉄道(※ 4)が、何だかんだ言いながらも『ムーンライトながら』の乗入を今も認めているのは、東海旅客鉄道にはそのような僅かな黒字にしかならない列車を運行出来る余裕があるからでしょう。

逆に、自社完結の『ムーンライトえちご』を運行停止にしてしまうところを見ると、東日本旅客鉄道にはもはや余裕が残っていないのかも知れません。

夜行快速を運行する余裕がなくなってきた西日本旅客鉄道と東日本旅客鉄道にはいずれも共通点があります:

整備新幹線の運営
  • 東日本旅客鉄道は東北新幹線と北陸新幹線の上越妙高以南
  • 西日本旅客鉄道は北陸新幹線の上越妙高以北

の運営を行っている或いは行う予定です。

新幹線は確かに収益は大きいのですが、整備新幹線では線路使用料を払わなければなりません。

その線路使用料は、新幹線での収益の範囲と決められており、また線路使用料は他の整備新幹線の建設費用に充当されます。

一時、運営予定会社に線路使用料の前借りを政府が無心すると言う話まであった状況ですので、相当な線路使用料を求められているのでしょう。

そうなると、相当稼がなければならないと言う事になります。

東日本が、乗り放題型のきっぷの効力をどんどん落としているのは、そんな事情も背景にあるのかも知れません。(※ 5)

支出を強いられる案件の存在
  • 東日本旅客鉄道は東日本大震災からの復旧に
  • 西日本旅客鉄道は JR 宝塚線事故の賠償と同事故を契機とした保安装置の強化に

それぞれ巨額の支出を強いられております。

これらの事を考慮すると、両社ではもはや低収益(或いは赤字)事業は公共性を損なわない限りやっていられなくなっているのでしょう。

普通運賃より遙かに安い切符での道楽列車など、公共性のコの字もありませんので、やめても何の問題もないのでしょう。(※ 6)


結論

西日本旅客鉄道には、もはや『ムーンライト九州』を運行するだけの余裕はなくなっている───だからこそ、復活はあり得ませんし、復活してはいけないのです。

そもそも、何度だって書きますが、

のですから、『ムーンライト九州』が運転されなくても、文句を言える筋合いにはないのです。


参考

JR臨時夜行快速〔ムーンライト九州〕正式廃止に思う
制作者もこの記事の内容については全面的に同意します。

あと、どっかのレイルウェイ・ライターが『ムーンライト九州』廃止に反対し、或いは復活を求める文言を書いているのですが、それを引用したりすると弁護士から著作権使用料を求められるらしいのでここでは紹介しませんし、反対意見としての検討も致しません

  • 自分の主張を広めたいのなら無償で公開するのが筋でしょうに、わざわざ金を取ろうとしている時点で、この男は本気で鉄道の事を考えていない、鉄道を金づるとしか見ていないのは明確でしょう。

    つまり、『ムーンライト九州』の復活を除く鉄オタに心地いい妄言を聞かせてカネを取るのが目的なのでしょうねえ。

  • と言いますか、著作権法三十二条も知らない弁護士ってどんなモグリだよw

    大体、お抱え弁護士を雇うのに幾ら掛かると思っているのか…そう言う訳で、誰とは言いませんがこのレイルウェイ・ライターの発言は単なる法的恫喝に過ぎないと思います。

    ただ、万が一を考えて彼の文言は一切扱わない事とします。

    • 大体、レイルウェイ・ライターだか何だか知りませんが、主張を聞くのにカネを払わせる時点で聞く価値なしでしょう。

脚注

  • 1. 最も、485系にしても車齢は 14系客車と大差なく、大した延命措置にはならなかったかも知れません。

    ですが、本当に力を入れている列車なら、黙っていても新車に置換える筈です。

  • 2. 平成26年春季の『えちご春の夜空号』(ムーンライトえちご)でも、同様に車輌トラブルが起こりました。

    夏季の運行がなかったのは、もしかしたらそれが原因だったのかも…。

    ただ、東日本には 485系の代わりの特急型編成が沢山ある筈(直流区間のみなので直流型でも良い)なので、夏季に別車輌(651系や185系など)で運行しなかったと言うのは、やはり廃止と受取って良いと思います。

  • 3. サイバーステーションでの予約サーヴィスでは、臨時列車は原則非対応のため、オンラインで空席を確認する事が出来なかったのも原因でしょう。

    しかし『ムーンライトながら』などは臨時化されてからもオンラインで空席照会が可能だったので、それを導入すべきではなかったのかと今更ながら思います。

  • 4. 実際に東海旅客鉄道の関係者が「青春18きっぷなんか廃止しろ」と発言したと言う話は聞きません。

    確かに、静岡県にロングシートの各駅停車しか運転していないなどと問題にされるようですが、それはあくまでも対費用効果の問題であって、青春18きっぷ利用者に対する悪意では決してありません。寧ろそう言う要求はただの青春18きっぷ利用者のワガママに過ぎないのです。

  • 5. もしかしたら既にご存じない方もいるかも知れませんが、かつて平成10年前後の頃、東日本旅客鉄道は「土日の二日間新幹線を含めた東日本旅客鉄道全列車の自由席が乗り放題」と言う、現在の東日本からは想像出来ないようなこれ以上ない神きっぷを販売しておりました。

    制作者が住む埼玉県には東北出身の方も多く、そのため多くの一般人がこのきっぷで週末帰省をしていたくらいです。

  • 6. ですから、東海旅客鉄道も中央新幹線の建設が本格化したら、建設費用の借入などに依り財務状況が悪化して『ムーンライトながら』乗入が出来る余裕を失う、すなわち『ムーンライトながら』廃止となる恐れが生じるでしょう。
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