大糸北線廃止の前にやってみるべき事
- 12時12分
- カテゴリ:鉄道ネタ
大糸北線の状況は年毎に悪くなっており、ついにと言うかやっとと言うか西日本旅客鉄道は今後の事について地元と話し合いを持つ事となりました。
西日本は「廃止前提ではない」と言っておりますが、本音はどうでしょうか。
でも、存廃を語る前にまだ他にやるべき事が残っている筈です。
■令和 2年の輸送密度は何と 50人/キロ/日!
西日本旅客鉄道に拠ると、令和 2年の大糸北線の輸送密度は何と 50人/キロ/日。
ついに二桁にまで落ちてしまいました。
勿論、これは新型コロナウィルスの影響に因るものと思われますが、令和元年度が 102人/キロ/日でしたから半分以上も減った事になります。
□実は大糸南線もかなりヤバい
大糸北線の事ばかりが話題になりがちですが、実は東日本管内の大糸南線もかなり深刻な輸送密度になっております。
白馬-南小谷間の令和 2年度の輸送密度は何と 126人/キロ/日。
新型コロナ問題が起きる前夜だった令和元年度ですら 215人/キロ/日しかありませんでした。
□原因はやはり人口減少
大糸線・白馬-糸魚川間の利用者減少の一因は、やはり沿線の人口減少でしょう。
糸魚川市街地に近い駅ならまだしも、山奥での過疎化は深刻な状況です。
地元の人も利用しようどころかそもそも地元に人がいないのです。
■北陸新幹線を活用していないのも衰退の一因
もう一つ、折角北陸新幹線が金沢に延伸して糸魚川にも新幹線が停まるのに、それを活用していないのも利用者減の一因ではないかと思います。
沿線に人がいないなら外部から客を呼べばいいのにそうしていないのですから。
□かつて運転されていた南北直通列車が水害で廃止され…
平成 7年に集中豪雨で大糸北線が不通になるまで、大糸北線から南線への直通列車が運転されていました。
- 北線が非電化、南線は電化なので当然西日本の気動車に依る運行でした。
北線が二年以上の不通期間を経て復旧した際、南北直通列車は設定される事なく今日に至っております。
これも、北線のみならず南線を含めた利用減少の一因になっているのではないでしょうか。
特にスキーシーズンなどは、糸魚川から白馬方面に直通快速列車を設定すれば、新幹線のフィーダ列車としてそれなりに利用されるのではないかと思われます。
□旧くから確立された「北陸経由白馬行き」
実際、西日本旅客鉄道は北陸新幹線の活用法の一つに関西からのスキー旅行も含めており、毎年冬になるとキャンペーンなどを展開しております。
もともと、関西からは北陸本線経由の夜行急行『シュプール』も運転された時期もあり、関西から北陸廻りで白馬へ向かうルートは旧くから確立されたものなのです。
□子会社のツアーに大糸線を組み込まない愚
子会社の日本旅行も、当然関西発で『サンダーバード』『はくたか』を乗り継いだスキーツアーを企画・販売している筈です。
でも、恐らく白馬行きのツアーでも糸魚川で送迎させてしまい、大糸線を組み込んで活用するようにはしていないでしょう。
しかしそれは、余りにも愚かしいものです。
■今こそ、白馬直通列車の復活を!
特にスキーシーズンには、糸魚川から白馬などスキー場最寄り駅に停まる直通快速などを設定するなどして、沿線外からのお客を呼ぶくらいの工夫はしても良かった筈です。
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問題点として、キハ120系の ATS 車上装置があります。
大糸北線は ATS-SW なのに対し大糸南線は ATS-SN を採用しており、互換性の問題があります。
□成功しないかも知れないが…
勿論、それでも成功しない確率は確かに高いでしょう。
でも、何もしないでただ廃止させろとはふざけた話です。
廃止は万策尽きてから考えるべきですが、大糸北線についてはまだ万策は尽きていません。
上述の通り大糸南線も衰退に歯止めが掛からない状況なので、西日本旅客鉄道は東日本と協働して直通列車の復活などを検討するとかすべきでしょう。
それでもダメなら、もう仕方がありません。
■余談・在来線を新幹線の二次交通としない旅客鉄道会社
いつも思うのですが、旅客鉄道会社には新幹線の並行在来線や接続路線を二次交通として活用しようと言う発想があるのか疑わしいです。
新幹線の収益を喰い潰すから経営分離すると言うのは仕方ないですが、経営が厳しい第三セクタ鉄道会社への集客協力もすべきではないでしょうか。
- まぁ、道南いさりび鉄道みたいに二次交通として使い物にならない路線もありますが、いさ鉄だって木古内での新幹線との接続を考慮してダイヤを調整出来る筈です。
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