北海道新幹線並行在来線バス転換決定に思う事いろいろ

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既に話題になっておりますが、制作者も思う事があるので記事にしました。


函館本線長万部以北バス転換が容認された!

北海道新幹線の札幌延伸に際し、函館本線・函館-小樽間が並行在来線として廃止される事は決定しております。

多くの場合、廃止される並行在来線は第三セクタ鉄道が継承する事となります。

ですが、長万部以北のいわゆる"山線"について、令和 4年 2月 3日までに小樽市と余市町を除く沿線全町村がバス転換を容認したと報道されました。

余市-小樽間の処遇は未定ですが、同線区がバス転換されれば平成 9年10月の北陸新幹線の長野暫定開業時に廃止された信越本線・横川-軽井沢間に次いで二例目の整備新幹線開業に伴う鉄路廃止となります。


本来なら新函館北斗-長万部間もバス転換すべき

正直言うなら、新函館北斗-長万部間も第三セクタでの鉄路存続は無理だと思います。

令和元年度の同線区の輸送密度は 3,397人/キロ/日となっておりますが、これは殆どが特急『北斗』に依るのは間違いなく、新幹線開業後の輸送密度は相当悲惨なものになるでしょう。

でも、同区間では貨物列車が一日に二十往復以上運転されており、従ってレールを剥がす事は不可能です。


実際バス転換案も浮上

このため、新函館北斗-長万部間について鉄路は貨物専用とし、旅客輸送はバス転換する案も浮上しております

具体的には、自治体が第三種鉄道事業者となって鉄路を引継ぎ、日本貨物鉄道に施設を提供すると言うものです。

  • 新函館北斗以南は道南いさりび鉄道が引継ぐ事となります。

これなら旅客営業を行うより遙かに運営コストを削減出来ますが、それでも相当の負担になるでしょう。


貨物新幹線が実現すれば…

ところで、青函トンネル内の新幹線高速化の切り札として貨物列車も新幹線化する案があります。

これが実用化されれば貨物列車も木古内と言わず札幌まで新幹線経由で走行が可能になり、その結果長万部以南の函館本線も鉄路廃止が可能になります。

ですが、貨物新幹線についてはこれまで色々提案されたものの実現に向けての動きは一切ありません。

そして新幹線の札幌延伸まで十年を切った今、貨物新幹線実用化はもはや間に合わないでしょう。


貨物列車全廃案まで浮上!?

更に、北海道-内地間の貨物列車を全廃させて青函トンネルを新幹線専用にする案も提案されたようです。

すなわち在来線用の第二青函トンネルを整備するのではなく、内地との貨物列車を全て船舶転換すると言うものです。

内地との貨物輸送を全て小樽, 苫小牧, 室蘭発着の船舶に転換すれば、函館本線の新函館北斗-長万部間には貨物列車が走らなくなり、従って同区間の鉄路廃止も可能になります。


内地人まで巻込む気か?

確かにこの案が実は一番現実的な案と思われます。

ですが、北海道-内地間の航路は意外に欠航が少ないとは言え全く欠航しないとは言えず、従って鉄道に較べると信頼性は高いとは言えません。

特に北海道から貨物列車で送られてくる農作物は、今や内地人の生活に欠かせないものとなっております。

それこそ、内地人まで巻込まれることになり兼ねません。



貨物列車が走らない"山線"はバス転換可能

さて、長万部以北に話を戻します。

函館本線・長万部-小樽間には貨物列車は全く走っておらず、従ってバス転換は全く問題ありませんでした。

なので制作者は"山線"は経営分離どころか鉄路廃止もあると思っておりました。

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"山線"は"海線"の予備など絵空事!

ただ「"海線"こと室蘭本線の予備路線として残すべき」と言う声は確かにあります。

室蘭本線沿線にある有珠山は活火山で、噴火時には室蘭本線が不通になる事さえあります。

実際平成12年 3月の噴火では室蘭本線が不通になり、一部貨物列車が"山線"経由で運転されました。

故に有珠山噴火時の予備路線として"山線"を存続すべきと言う訳です。


次の有珠山噴火まで沿線自治体が保たない!

ですが、有珠山はそれ程頻繁に噴火してはおらず、有珠山対策だけのために莫大な赤字を垂れ流していたら沿線自治体はそれこそ有珠山が噴火する前に財政破綻し兼ねません。

日本貨物鉄道も、

  • DF200 形の"山線"入線は無理
  • 有珠山噴火時はトラック代行で対応したい

としており、"山線"は予備にはならないと明言しております。

つまり、"海線"の予備路線として残すのは現実的ではないどころか絵空事とさえ言えるのです。


新幹線延伸前に"山線"廃止も?

一部では函館本線の長万部以北が北海道新幹線開業前に廃止される可能性も指摘されております。

令和元年度の函館本線・長万部-小樽間の輸送密度は 618人/キロ/日でした。

北海道旅客鉄道が廃止対象とする 200人/キロ/日よりは確かに高い数値です(宗谷本線名寄以北よりも多い)。


本来山線は"廃止希望路線"

ですが、この数値は本来なら「存続のために自治体と相談したい」とされる値(2,000人/キロ/日未満)です。

この文言は「本来ならバス転換すべきだが、沿線の支援があれば存続は不可能でない」と言う意味で、言い換えれば

「自治体がバス転換を容認するなら是非廃止したい

と言う事になります。

函館本線の場合、経営分離すなわち他社への譲渡が決定していた事からそれまで残さざるを得なかっただけです。

なので、沿線自治体がバス転換を容認すると言うのなら北海道旅客鉄道は喜んで廃止を前倒しにする可能性があると言う訳です。

輸送密度が極めて低く、貨物列車も特急列車も走らない赤字線区など地元が引取らないとなれば廃止をためらう理由など全くありません。


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