樽見線と越美線が全通していたら…

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国鉄時代、岐阜県と北陸三県の県庁所在地(富山・金沢・福井)を結ぶ三路線の計画がありました。

今回はこの件について書きたいと思います。


岐阜県と北陸三県を結ぶ予定だった三路線

国鉄の路線計画には、中部地方の太平洋側と日本海側を縦貫する鉄道路線が三つ定義されておりました。

いずれも、岐阜県と北陸側の県庁所在地を結ぶ路線でした。

高山本線
岐阜と富山を高山経由で結ぶ路線
樽見線
大垣と金沢を越前大野経由で結ぶ路線
越美線
美濃太田と福井を越前大野経由で結ぶ路線

東海道側の大都市と言えば名古屋ですが、名古屋には既に東海道線が通っており岐阜県内から通せば良かった訳です。


現実には高山本線だけが全通

さて、現実にはどうなっていたかと言えば…。

高山本線
三線で唯一全通し、今も猪谷以北は西日本旅客鉄道、猪谷以南は東海旅客鉄道が運営
樽見線
金沢側は全く手を付けられず、大垣側は経営分離されて樽見鉄道が運営。
越美線
九頭竜湖と北濃の約15キロ区間が繋がらないまま、越美北線は九頭竜線として西日本が引続き運営するも、越美南線は経営分離され長良川鉄道が運営。

結局、高山本線のみが全通し、残りは一部を除いて特定地方交通線となって国鉄時代末期に経営分離されてしまいました。


もし三線とも全通していたら…?

それでは、もし高山本線のみならず樽見線と越美線も国鉄時代に全通していたらどうなったでしょうか。


越美南線と樽見線は経営分離されなかった?

国鉄末期には不採算路線が特定地方交通線に指定され、分割民営化後も次々に経営分離されました。

それでは、樽見線や越美線が全通した場合、史実通りに経営分離されたでしょうか?

答えは「いずれも否」だと思います。

特定地方交通線は路線単位で選定され、従って一部でも選定除外条件を満たしていれば選定からは除外されます


越美線は北側の豪雪で経営分離を免れる

越美線の場合、並行道路が冬期の積雪で通行止になる事から越美北線は第二次特定地方交通線の選定を免れました。

史実では独立した路線として越美南線が第二次特定地方交通線選定の憂き目に遭い長良川鉄道が経営を引き継ぎました。

ですが、全通した場合は全線を越美線として扱う筈なので、越美南線部分も纏めて選定対象外となり、今も九頭竜湖か北濃以南を東海旅客鉄道が経営していたでしょう。


樽見線も越前大野経由のため経営分離されず

樽見線も豪雪地帯である越前大野を経由する予定でした。

当然、この辺りで並行道路は冬季に積雪で使えなくなっていたでしょう。

従って、特定地方交通線除外条件を満たす事となり、福井・岐阜両県境付近以南を引続き東海旅客鉄道が、残りを西日本旅客鉄道が今も経営した筈です。


優等列車は運転されるか?

エル特急が登場してから各地を走る急行列車は整理され、結果エル特急化されず廃止された急行列車も少なくありませんでした。

ですが、急行列車全盛期には今で言うローカル線にさえ急行列車も走っていました。

従って、越美線にも樽見線にも岐阜県と北陸を結ぶ急行列車がそれなりに運行されていた可能性は高くなります。

否、名古屋と福井, 金沢を結ぶ急行列車がそれぞれ越美線, 樽見線経由で運転された筈です。


『しらさぎ』も樽見線・越美北線経由に?

名古屋・岐阜と北陸を結ぶ特別急行列車として『しらさぎ』がありますが、この列車はどうなったでしょう?

距離で言えば樽見線や越美線経由の方が東海道線・北陸本線経由よりは短くなります。

ただ、東海道線や北陸本線は大動脈路線なのでこちらの方が高速走行が可能です。

そうすると、距離だけ見ればショートカットになっていそうな樽見線・越美線経由はショートカットになっていないと言う事になり兼ねません。

それでも、樽見線や越美北線が電化されて高規格化されたら樽見線・越美北線経由で福井に至った可能性もあります。


北陸新幹線のバイパス路線になった

北陸新幹線が災害で減便される場合などに、北陸新幹線の乗車券で高山本線経由の迂回ルートが利用出来る措置が執られる事があります。

令和元年に長野を襲った台風で運営に多大な支障を受けるなど、災害に強い新幹線と言えども完璧ではありません。

殊昨今は水害の被害が甚大化しており、また北陸新幹線に多大な影響がないとは言い切れません。

樽見線や越美線が全通していれば上述の通り今も JR の路線になっていた筈で、災害時にはこれらの路線を経由した迂回乗車が可能になった筈です。

恐らく樽見線と越美線の双方に特急を定期運転させはしないと思いますが、災害時には臨時特急を設定するなどの措置は執れるでしょう。


18きっぷ問題が緩和された

北陸新幹線が敦賀に延伸した場合、金沢へは青春19きっぷでは行けなくなります。

JR 七尾線の起点・津幡駅は敦賀から 142.2キロも離れしかも二社に跨る事になるので、孤立路線アクセスのための通過特例についても議論されるのは間違いでしょう。

  • 仮に通過特例が認められたとしても、金沢は接続駅ではないので降りられはしない筈です。

樽見線や越美線が全通していれば上述の通り今も JR 路線となる筈です。

従って、少なくとも金沢や福井へのアクセスでは依然 18きっぷが使える筈です。

現行の JR 七尾線への通過特例も問題なく維持されるでしょう。

いずれにしても、18きっぷを用いた北陸へアクセスに関する問題が緩和された事は間違い有りません


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