長距離きっぷが途中下車可能で複数日有効である理由

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一般に営業キロが100キロを越える乗車券は、一部例外を除いて途中下車が出来て二日以上利用出来ます。

どうしてこうなっているのでしょうか。



乗車券の有効期限と途中下車可否についておさらい

鉄道ファン取分け乗車派の方には釈迦に説法でしょうが、普通乗車券の有効期限についておさらいしましょう。

まず、

  • 営業キロが 100キロ以内の乗車券
  • 100キロを越えても大都市近郊区間に含まれる乗車券
  • 回数乗車券

については途中下車は出来ず、有効期限も当日一日限りとなります。

でも、上記のいずれにも該当しない場合は途中下車が許され有効期限も二日以上となります

具体的には営業キロ 200キロ以内は二日間、以後 200キロ毎に一日ずつ有効期限が加算されます。


例えば、大宮から新潟まで上越線経由の乗車券の場合、営業キロは 303.6キロで東京近郊区間からも新潟近郊区間からも外れるため、

  • 途中下車が可能
  • 有効期限は三日間

となります。


理由:かつて長距離汽車旅では途中宿泊を要した

では、何故長距離乗車券では途中下車が出来て何日も使えるようになっているのでしょう?

理由は今となっては余り実感が湧かないかも知れませんが、かつて鉄道旅行では長距離だと途中宿泊を要したのが理由です。


遅いため日数を要した昔の鉄道


昔の列車は遅かった

今でこそ東京から九州や函館までは新幹線を使えば半日もせずに行く事が出来るようになりました。

でも昔は出力が弱い蒸気機関車での牽引だった事もあって、距離が長くなるとどうしても日数が掛かってしまいます。

このため、夜行列車がない線区だといちいち途中下車して駅前の宿で一泊して翌朝旅行を再開するしかなかった訳です。

  • かつては大都市でも観光地でもない駅(芸備線・備後落合駅など)の前に旅館がある駅も多かったのですが、そう言う需要に応えてのものでしょう。

列車の本数も少なかった

勿論、東海道線などの大幹線なら都市間長距離列車もあったので一日に 300キロ以上の移動も出来たでしょう。

でも、今日と較べて列車の本数自体余り多くはなく、このため乗継などを考慮すると最悪一日 200キロくらいしか進めない可能性もあったのでしょう。


例:首都圏-新潟間の場合

例えば上述した大宮から新潟への場合、上越線が全通したのは昭和 6年(西暦1931年)でそれより前は今は亡き信越本線を経由するのが一般的でした。

明治32年(西暦1899年)に信越本線が全通しましたが、新潟から首都圏へはどうしても途中で宿泊しないといけなかったそうです(参考文献)。

やはり、途中下車や複数日有効は欠かせなかったようです。

その後明治38年(西暦1905年)には上野直通列車が運転され片道十七時間前後掛かったそうですが、その列車に乗れなければやはり途中宿泊が必須だったのでしょう。

  • 余談ですが、かつては現在の東北本線・磐越西線経由で上野と新潟を結ぶ列車もあって、そちらの方が信越本線経由より速かったそうです。

今は意味はなくなったのか?

それでは、今日ではこのような長距離乗車券だと途中下車も出来て複数日使える制度は意味がなくなったでしょうか?

一般の方は新幹線なり特急なりを利用してその日のうちに旅行を完遂するでしょうから意味はなくなっているかも知れません。


"普通列車縛り"なら意味が生じるかも

でも、新幹線や特急を一切利用せず普通列車だけで移動しようとなると今でもこの制度に意味が生じる場合があります

  • まぁ普通乗車券でそんなアホな事をするのは鉄道系ユーチューバーくらいでしょうけど。

如何に列車が高速になったと言っても、ちまちま停車している普通列車は所要時間が大幅に伸びてしまうからです。

快速列車があればかなり時間が短縮される事が多いのですが、過疎路線では快速列車は余り設定されないものです。


列車減便と夜行全廃で一日で行けない場合が

また、地方路線を中心に普通列車の減便が行われており、机上の計算では一日で辿り着けても実際に時刻表を当たると接続待ちで時間を取られて一日では届かなくなる事も珍しくありません。

況して夜行普通列車も全滅した今日、いちいち途中下車して宿で夜を明かさなければ、目的地まで辿り着く事は出来ないのは実は今も変わりません。


本来の運賃の定義を考えると

長距離乗車券を途中下車も出来ず当日限りにしてしまうと、それこそきっぷに記載された区間の旅行は特急や新幹線を使わねば事実上不可能になってしまうでしょう。

本来運賃とはそれを払えば最低限の輸送が保証される金銭であり、その観点からも特急料金を払わないと事実上使えない乗車券を発行する訳には行きません。



結論

長距離の普通乗車券で途中下車が許され、翌日以降も使えるようになっているのは、普通列車だと一日で辿り着けない場合があるからです。

そしてそれは列車が遅く本数も少なかった戦前だけの話ではなく、令和の今日でも同様なのです。


参考文献

フィーチャフォンの方はご覧になれません。

1. 鉄道の歴史と新津鉄道資料館のあゆみ
新潟市秋葉区のサイトから。
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堀北真希うさぎ 紀子ちゃん(神崎紀子) 版権イラスト