鉄道の電化について思った事~関東鉄道常総線について~

  • トゥィッターで言及(トゥィート)
  • はてなブックマークに登録
  • フェイスブックで共有
  • タンブラーで共有

今回も、トゥィッターでつぶやいた事を記事にしました。


交流電化では特高電圧となっている理由

以下は電気の知識がある方には釈迦に説法なので、そのような方は読み飛ばしていただいて構いません。

鉄道の交流電化に於いては、日本では新交通システムを除いて特高電圧( 7,000ボルト以上の高電圧)が採用されております。

一方、直流電化ではせいぜい 1,500ボルトと電圧は高くはありません。

これは何故でしょうか?


長所:変電所が少なくて済む

同じ電力を架線に流すなら、電圧が高い方が電流が小さくなります。

何故なら、電力 Pワット は電圧 Vボルト と電流 Iアンペア の積・P=VI となるからです。

一方、架線には僅かながら電気抵抗があります。

電気抵抗 Rオーム の導体に Iアンペア の電流を流すと、I2Rのジュール熱が発生します。

ジュール熱は電気エネルギーが熱エネルギーに変質したものであり、従って発生したジュール熱だけ電車に供給出来る電力が少なくなります。

  • 直流電化に於いて、数キロ毎に変電所を要するのはこれが理由です。

特高電圧にすれば電流は大幅に小さくなり、結果ジュール熱に因るエネルギーロスも大幅に減る事となります。

このため、変電所の数も直流電化より遙かに少なくて済む事となり、長距離幹線では有用となる訳です。


欠点:車輌コストが嵩む

一方、特高電圧を電車は直接取扱う事は出来ません。

交流式電車や直交流式電車は、車内に変電所を持つようなものとなります。

当然、車輌の新造コスト及び管理コストが非常に高くなり、近年では普通列車には気動車を導入する線区さえあります。

言うまでもなく民鉄では特高交流電化は採用されず、第三セクタでも国鉄・JR 路線を継承した例が殆どです

阿武隈急行と仙台空港鉄道は、令和元年11月現在唯二つ新規路線に特高交流電化を採用した第三セクタとなります。

  • 阿武隈急行は旧丸森線の延伸区間が新規路線となります。

余談:特高電圧の直流電化は可能か?

さて、こう書くと「直流電化でも特高電圧にすればいい」と言う意見が出るかも知れません。

ですが、特高電圧の直流電化は不可能です。

理由は、交流電力を直流化する整流器が特高電圧に耐えられないからです。

また、電圧を変える変圧器は交流電力でないと使えず、直流化してしまうと昇圧させる事が出来なくなります。

更に、特高電圧はそのままでは電車が取扱えず従って降圧させなければなりませんが、効率よく降圧させるには変圧器が必要で上述の通り再度交流化を行う必要があります。


長距離幹線でなくても交流電化が必要になる例

茨城県の鉄道を語るに辺り、避けて通れないのがあの地磁気観測所です。

鉄ヲタの中には

  • 「地磁気観測所なんか要らない」
  • 「鉄道と地磁気観測所とどちらが大事なんだ」

と言う方がいるようですが、日本いや世界的に見て地磁気観測所の方が遙かに重要です(煽り)。


直流電化が難しい地磁気観測所周辺

地磁気観測の妨害になるため、観測所から半径30キロ以内の地域では鉄道の直流電化が厳しく制限されております

完全には禁止されていませんが、変電所の数を通常より多くして小刻みに()電区間を設けて架線から発生する磁力を打消す工夫が必要になります(内房線が別の地磁気観測所に近い区間で採用)。

それが無理なら交流電化にするか、それとも諦めて非電化にするか───前者を採ったのが常磐線やつくばエクスプレス、後者を採ったのが関東鉄道となります。

常総線も竜ヶ崎線も、特高交流電化では採算が取れず非電化のままにするしか無かったのです。

  • 一応、常総線内で内房線方式の採用を検討していたようですが。

常総線には特高電圧でない交流電化はどうだ?

それなら、関東鉄道取分け常総線には特高電圧でない 1,500ボルト程度の交流電化を採用すればよかったのではないでしょうか。

特高電圧にしない限り交流電化の利点がないとされている事から、日本の鉄軌道方式鉄道では低圧交流電化の前例は全くありません。

でも近年は交流モータと交流電力を制御する VVVF インヴァータが主流です。

交流電化にすれば変電所も変圧器だけで良く、整流器は不要となります。

そうすると、巧くやれば直流電化より部品等を減らせてより低コストになる事も期待出来ます。


過去にも現在でももう無理か

もっとも、関東鉄道が複線化した昭和50年代(西暦1960年代後半から80年代前半)はまだ交流モータも VVVF インヴァータが実用化され初めだった時代。

なので、低電圧の交流電化は思い付かなかったのではないかと思われます。

今から低電圧の交流電化を導入しようとしても、関東鉄道はつくばエクスプレス開業の影響でかなり経営環境が悪化していると言われております。

  • 鹿島鉄道が廃止に追込まれたのもつくばエクスプレスの影響が遠因と言われています。

それでなくても利用者減少が続いているとの事で、やはり抜本的なインフラの改変は難しいでしょう。

結局、常総線では高性能気動車を使い続けるしか無いのでしょう。

関連記事
スポンサーサイト



堀北真希うさぎ 紀子ちゃん(神崎紀子) 版権イラスト