名寄本線亡き後の紋別-札幌間の公共交通

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北海道旅客鉄道は、いよいよ廃止すべき路線の選定を始めたようです。

そこで、三十年くらい前に鉄路を失った北海道の都市・紋別はどうなったかを妄想を交えながら見てみましょう。


現在の紋別-札幌間の公共交通

平成元年に名寄本線が廃止され、北海道の都市として鉄道でのアクセスが出来なくなった紋別市。

平成28年 7月現在、紋別-札幌間には一日四往復の高速バス『流氷もんべつ号』が運転されております。

うち一往復は停車型、残り三往復は直行型となっております。

直行型の場合、旧紋別駅(バスターミナル)-札幌間の所要時間は約四時間二十分となります。

運賃は停車型・直行型とも 4,930円となります。


名寄本線が廃止されなかったら…?


急行『紋別』が特急『スーパー紋別』で復活か?

かつて名寄本線には札幌発着の急行『紋別』が名寄(宗谷本線)経由で運転されておりました。

末期は紋別を朝に出て、深夜に紋別に帰るダイヤになっておりました。

恐らく、札幌へのビジネス需要を考慮してこのダイヤになったのでしょう。

ただ、急行『紋別』は名寄本線が廃止される二年半前の昭和61年(西暦1986年)11月に廃止されてしまいました。


『紋別』が走った宗谷本線の現状

急行『紋別』は、上述の通り宗谷本線廻りとなっておりました。

一方、ご承知の通り宗谷本線の旭川-名寄間は平成12年に高速化事業を完了し、以来最高130キロ毎時(現在は120キロ毎時)での走行が可能になりました。

結果札幌-稚内間を約六時間掛けて運転していた急行『宗谷』は所要時間を五時間強に縮めた特急『スーパー宗谷』に置換わりました。

それでは、もし名寄本線が特定地方交通線の選定を免れるなどして廃止から免れたとしたら、紋別-札幌間はどうなっていたでしょうか。

紋別-札幌間にも宗谷本線の高速化は有用だったと思われます。

そう、廃止された急行『紋別』を特急『スーパー紋別』で復活させるのです。


所要時間

名寄本線について特に高速化は行わないと仮定すると、紋別-名寄間の所要時間は約二時間と見られます。(参考文献 1)

一方、『スーパー宗谷』等は札幌-名寄間を二時間二十分程度で走破します。

つまり、紋別-札幌間を四時間二十分程度で結べる事となります。


料金

それでは、運賃・料金はどうなるでしょうか。

名寄本線・紋別-名寄間
 93.1キロ
宗谷本線・名寄-旭川間
 76.2キロ
函館本線・旭川-札幌間
136.8キロ

ところで、名寄本線と宗谷本線は地方交通線ですから一割増しの換算キロで 186.2キロとなります。

つまり、運賃計算キロは合わせて 323.0キロとなり、運賃は 5,940円となります。

特急料金については全区間が特急列車として運転されるなら営業キロは計 306.1キロから 3,110円(指定席)となります。

以上より、片道で 9,050円と言う事になります。

『流氷もんべつ号』と大差ない所要時間で倍近い料金を取られるのではたまったものではありません。


トクトクきっぷ

とは言え、道北へは区間に依っては普通運賃より安い『Rきっぷ』等の企画商品があります。

例えば、札幌-遠軽間の『Rきっぷ』の場合、冬季以外では 46%くらいの割引です。

この割引率が適用されるとすれば、紋別-札幌間は片道 4,070円くらいとなり、バスよりは安くなります。


石北本線ルートだったら?

ところで、名寄本線亡き今、紋別から鉄道で札幌を目指すのであれば、旧紋別駅からバスで遠軽に出て石北本線に乗継ぐのが一般的でしょう。

石北本線は高速化が成されておらず、このため札幌-遠軽間の特急『オホーツク』の所要時間は三時間三十分程度となっております。

一方、紋別-遠軽間の所要時間は一部駅を通過する普通列車で五十分程度となります。(参考文献 1)

特急列車なのでもっと所要時間は短くなる筈で、それを考慮すると紋別-札幌間は四時間十分台で行けると思われます。

名寄本線の紋別-遠軽間は第三セクタで存続する案もあったそうですが、これが実現しなかったのが悔やまれるところです。

  • 実現したら石北本線の重要度も増すため、宗谷本線の代わりに石北本線が高速化されたかも知れません。

とは言え…

ここまで書いていて言う事ではないと思いますが、バス一台で輸送出来る程度の需要で果たして特急列車が運転出来るでしょうか?

宗谷本線の高速化に対応しているキハ261系は四輌を最小の編成としております。

でも、バス一台で充分なところであれば、明らかに輸送力過剰でしょう。

まさか『スーパー紋別』のために二輌ないし三輌で運転出来る専用編成をわざわざ作るでしょうか?

  • 否、二輌に減らしたってまだまだ過剰でしょう。

こう考えると、国鉄末期に急行『紋別』が廃止されたのも仕方が無いのかなと言う気がします。


特急さえ走れば良かったのか?

そもそも都市間特急さえ走れば路線は存続出来るのでしょうか?

廃止まで都市間急行列車『天北』が運転されていた天北線も第二次特定地方交通線の指定を免れず廃止となっております。

特急が走っている宗谷本線だって、平成26年度の輸送密度と営業係数は以下の様な状況です:

    輸送密度 営業係数
旭川-名寄  1,512人 314
名寄-稚内    405人 543

どう見ても赤字ローカル線にしか見えません。

特急列車を運転しても利用されなければ赤字を増やすだけで逆効果です。

もはや特急列車も存続の切り札には成り得ないと言っても過言ではないでしょう。



結論

紋別の場合、企画商品を充実させる事でバスと競争力を維持する事は出来たと思われます。

でも、現実には名寄本線廃止後は高速バスのお蔭でより便利になっております。

また、都市間だけではやっていけない現状を考えると、名寄本線廃止は已むを得なかったのかなと思います。


参考:航空路線の場合(運休中)

現在は運休中ですが、かつてはオホーツク紋別-札幌新千歳間に航空便がありました。

実際にこれを用いて旧紋別駅から札幌まで移動しようとすると、

旧紋別駅→空港
約十七分
オホーツク紋別→札幌新千歳
約五十分
新千歳空港→札幌
約四十分

となりますが、実際には

  • オホーツク紋別空港でバスを降りてから搭乗便が出発するまで約一時間
  • 札幌新千歳空港で降機後駅に着くのに四十分位

は掛かり、これらを加味すると四時間弱は掛かる事になります。

航空運賃は平成23年時点で 2万円前後だったようですが(参考文献 2)、たった三十分の時短も怪しいのに誰が喜々として 1万 5千円も余計に払うのでしょうかねえ?


今回この記事を書いた理由

今回この記事を書いたのは、北海道旅客鉄道がいよいよ不採算路線の削減に本腰を入れてきたからです。

今秋までに北海道旅客鉄道では支え切れない路線を選定し、その路線について沿線の人たちに相談したいと表明したのです。

対応次第では、紋別に続いて鉄路を失う都市が更に増える事が考えられます。

  • 根室, 夕張辺りは特に危険水域に達しているでしょう。

そう言った事から、紋別の現状を検証してみたのです。

勿論、北海道の全ての都市が紋別のようになるとは思いませんし思いたくありません。

ただ、紋別のようにならざるを得ない都市もあるでしょう。


参考文献

PC 向けページや PDF のため、フィーチャフォンではご覧になれません。

1. 大日本ノスタルジィ鉄道 名寄本線

昭和61年(西暦1986年)の名寄本線のダイヤが掲載されております。

急行『紋別』の所要時間はこのダイヤから推定しました。

2. 全日本空輸平成23年冬季運賃表の一部(PDF)
ANA 運航としては末期の札幌新千歳-オホーツク紋別間の運賃が掲載されております。
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