西日本のフリーゲージトレイン

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長崎新幹線(西九州新幹線)では、一部区間を在来線活用とした暫定整備が進められております。

このため、九州旅客鉄道は既にフリーゲージトレインの試作品を開発し、テスト走行に向けて準備しております。

一方、かねてから西日本旅客鉄道は山陽新幹線へのフリーゲージトレイン直通に否定的な態度をとっております。

そんな西日本旅客鉄道でしたが、北陸新幹線の金沢延伸が旬日に迫り、フリーゲージトレインに対する態度を一変させました。

勿論、長崎新幹線への導入には依然消極的ですが、北陸新幹線の敦賀以遠への活用に積極的な態度を示すようになりました。


西日本版と九州版の違い

西日本版のフリーゲージトレインは、寒冷地仕様と喧伝されておりますが、もう一つ、直流電化対応と言う大きな違いがあります。

湖西線にしても琵琶湖線にしても直流電化のため、これらの線区に乗入れるには直流対応にする必要があるからです。

一方、九州は山陽本線と筑肥線を除き、電化線は全て交流電化ですので、直流電化対応は不要でした。


西日本版に於ける課題

フリーゲージトレインでしばしば問題になっているのは、直流電化対応のパンタグラフをどうするかです。


直流対応のパンタグラフが必要な理由

直流電化は交流電化より電圧が低くなります。

正確に言うなら、交流から直流に変換する整流器と呼ばれる装置が特高電圧に耐えられないため、整流器が対応出来るくらいに電圧を下げる必要があります。

一方、同じ電力であれば、電圧が下がるとそれに反比例して電流が増大します。

そして、ここから高校の物理の話になりますが、超電導体でない限り、電気が流れると電流の二乗に比例するジュール熱が発生します。

新幹線は 25,000ボルトですが、JR の直流電化は 1,500ボルトで、従って電力が同じなら二百八十倍近いジュール熱が発生する事となります。

一方、新幹線は騒音や空気抵抗を防止する観点から、極力小さなパンタグラフを使うようにしております。

パンタグラフ自体がお荷物になる事も見逃せません。

でも、そんなパンタグラフで直流区間を走行すると、最悪の場合ジュール熱で焼き切れてしまいます。

つまり、直流電化での大電流に耐えられる小さなパンタグラフを開発しなければならない訳です。


北陸新幹線での用途

さて、西日本版フリーゲージトレインは、北陸新幹線の敦賀以西の暫定運用に充当される事になっております。

この他にも、用途はあるでしょう。


『しらさぎ』への転用

北陸新幹線の経路にも依りますが、米原ルートでない限り『しらさぎ』が新幹線で存続する可能性は低いでしょう。

そこで、敦賀開業時にフリーゲージトレインに依る新在直通『しらさぎ』も合わせて設定するのです。

北陸新幹線が敦賀延伸を予定している平成35年には、まだ中央新幹線は名古屋暫定開業にも至りません(中央新幹線の名古屋暫定開業は平成39年の予定)。

従って、敦賀延伸時には東海道新幹線への乗入は認めてもらえない可能性が高いと言う事になります。

このため、『しらさぎ』は米原-名古屋間も東海道線直通で運転する事とします。

東海道新幹線は尾張一宮, 岐阜や大垣を経由しないため、東海道線経由の『しらさぎ』は新幹線補完列車としても有用と思われます。


小浜方面への転用

北陸新幹線の小浜経由列車にも転用出来るでしょう。

詳細は、以下をご覧ください:


北陸新幹線以外での用途

西日本旅客鉄道にとって、フリーゲージトレインは北陸新幹線以外にも様々な使い途があるでしょう。

よく言われる山陰新幹線や四国新幹線もこれで実現します。

ひょっとしたら、北陸新幹線の延伸前に完成して、山陰や四国に転用されてしまうかも知れません。


山陰新幹線への転用

山陰新幹線の場合、フリーゲージトレインを東海道新幹線に乗入れられるかと言う問題もあります。

  • 何しろ、東海旅客鉄道は東日本旅客鉄道以上にフリーゲージトレインには無関心ですから。

山陰新幹線若狭ルート

そこで、北陸新幹線経由で運行するのはどうでしょうか。

敦賀から小浜線・タンゴ宮津線・山陰本線を経て出雲市まで直通するのです。

北陸新幹線の若狭ルートは既に可能性がなく、その代替と言う側面もあります。

ただ、

  • 山陰本線の電化工事区間が長い事
  • 北陸新幹線が余り高速でない事
  • 在来線も押し並べて低規格である事
  • 宮津線に至っては廃止の可能性がある事

から、そんな経路にするならいっそフル規格の方が対費用効果がいいと言う事になり兼ねません。

これらの問題をクリアした場合、東京からは富山で『かがやき』と『わかさ』(仮称)の乗継を行う訳です。

尚、東日本旅客鉄道がフリーゲージトレインに無関心なので、フリーゲージトレインの完成などに依り態度を変えない限り、恐らく富山辺りからの出発になってしまうでしょう。


山陰新幹線智頭ルート

もう一つは、やはり智頭急行・因美線を電化して乗入れる方法でしょう。

ただ、西日本旅客鉄道は山陽新幹線へのフリーゲージトレイン乗入に消極的なので、それこそ300キロ毎時での走行が可能にならないと難しいでしょう。

実現したら首都圏からは新大阪で『のぞみ』(または中央新幹線)と『いずも』(仮称)の乗継ルートとなるでしょう。

勿論、伯備線経由も考えられますが、この場合鳥取を経由しないのが問題になるでしょう。


四国新幹線への転用

もともと、瀬戸大橋のミニ新幹線化が検討されていたそうですが、三線軌でも普通列車を高価な交流電化に置換えなければならなくなる事から断念したと言われております。

交直両用のフリーゲージトレインが完成すれば、瀬戸大橋線の改軌より低コストに四国新幹線が実現するでしょう。

ただ、この場合も西日本旅客鉄道が山陽新幹線へのフリーゲージトレイン乗入を決断する事が必要です。

直通列車の行先は、松山がいいでしょうが、四国旅客鉄道の性格を考えるとやはり(讃)高松になってしまうのでしょうかねえ。

この場合、首都圏からは新大阪で『のぞみ』(または中央新幹線)と『せと』(仮称)に乗り継ぐ形になるでしょう。

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